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奉納額「俳諧一折」


☆奉納額「俳諧一折」(ほうのうがく はいかいひとおり)

 江戸時代の俳人長谷川善正(号は三止)が内々神社に奉納した俳諧奉納額です。横井也有に私淑し、尾張国春日井郡内津村(現在の愛知県春日井市内津町)に住み。漢方医・薬種問屋を営んでいた三止は、名古屋城下に出かけた折に、横井也有宅を訪問し、いろいろと交流がありました。かねてから内津に松尾芭蕉の句碑を建立したいと考え、その揮毫を也有に依頼し、「山路来てなにやらゆかしすみれ草」と書いてもらいます。その碑が建立できたので、1773年(安永2)に、三止はそれを見てもらうため、也有を内津村の自宅に招いたりしました。その後も交流が続き、三止はこの奉納額を書いて、内々神社に納めたものと思われます。縦43.6cm、横151cm、幅3.4cmあり、18名の29句が掲げられていました。内訳は、横井也有8句(也有1句、半掃庵7句)、長谷川三止5句(艸人1句、屮人4句)、文樵、梁哉、蓑月、熱田馬三、得之、明知羽白、庄名かの女、府下松羽、英山、楓夜、二朝、也陪、風五、藤静、谷山が各1句ずつとなっています。奉納額が納められたのは、巳年とされ、三止存命中のこととすると、1785年(天明5)、1797年(寛政9)、1809年(文化6)、1821年(文政4)のいずれかだと考えられてきました。

☆奉納額「俳諧一折」 所在:内々神社絵馬堂内

 俳諧一折

杉高しかたじけなさに袖の露        也有
秋も家中の山の朝明            艸人
窓近の月を名誉に渡り来る       府下素外
袷ふた物を手に居へるなり        仝文樵
おもしろい隣/\の冬構へ        仝梁哉
ちらつく雪に鷲遠流るゝ         仝蓑月
ちぎれたて蓑に刀を押流し       熱田馬三
早木舟寺の鐘をつき出す          得之
そよ/\と瀧より風の朝起る      明知羽白
胡国の人のあしきものゝふ       庄名かの女
呉竹のうきふしさける恋衣       府下松羽
なつかしき夜のかたりあひかな      仝英山
波の音打広かりぬ秋の田ぞ        仝楓夜
虫吟出す菅のあら菰           仝二朝
馬洗ふ背戸の翁のよく肥て        仝也陪
酒のむ度に歌唱ふ也           仝風五
鼓打宮に次国の華まつる          藤静
鶴高き方に霞むらされ           谷山

 追加

初午や太鼓に華をそがせる                   
春の別れ蛙ほどなくものもなし             
鳴ぬとしあるも命ぞ郭公
竹切の日やころ/\と烏瓜
鼹鼠おとに遠音や秋のくれ
五六羽のからす下り居る枯野哉
木がらしや思へば月も有夜也
                    半掃庵
見て居れバ底寒うふる桜哉
涼しさや川径ゆけば魚の飛
歌の骨詩のほねならぬ穐の暮
遠しぐれむら/\鳥のさわぐかな

巳の仲穐      屮人
           敬白

2015年3月 春日井郷土史研究会発行『春日井郷土史 創刊号』内々神社の奉納額「俳諧一折」近藤雅英より

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